─ アルミでジュエリーを作るって珍しいですよね?
うん、ちょっと珍しいかな。
自分でも初めて作ったときは、これがジュエリーになるのかな、いいのかなって思ってたから。
基本的にジュエリーで使うのは、金、銀、プラチナ。学校では、洋白、真鍮、銅も使ったけどアルミはなかった。
─ 何かきっかけがあったんですか?
金属は全般的に好きだから、触っていて、あれはねっとりしてる、これはサクサクしてるってそれぞれに思ってることがあるんだけど、アルミはその中でも「表情がカワイイなあ」って触ってみたい金属だった。
でも、もともとは「金」が一番好きだから、まさか「アルミ」をジュエリーにするとは思ってなかったけど・・。
─ 触ってみたらおもしろかった?
軽いし。
表面も加工したら・・超タイプ(笑)。
好ましいって言ったほうがいいのかな?
─ 超タイプでいいと思いますよ(笑)
加工ではまず素材を作るんですよね。
ピカピカで送られてきたアルミを腐食させるんだけど・・まだ・・好きな感じにできない。
─ え、そうなんですか?
アルミって配合によって微妙に違うから、色々な材料屋さんから買って試してるけど、まだ想像通りにコントロールできない。
この前うまくできたやり方を別のアルミで試しても、あれー?ってなったり。
ずっと研究してるけど、毎回違う。もう、「毎回違います」って言うしかない。
─ 理想と違う?
理想はないんだけど・・。
どれもみんな可愛いんだけど、想像と返ってくるものが違うというか。
それはそれでいいんだけど、その後の作業に時間がかかったり・・。
─ その後は磨く作業ですよね?
好きな表情になるまで磨く。
もう8割くらい、磨くのに時間を使ってると思う。
─ えっ!8割って、ひとつブローチを作る時間の8割ですか!?
そう。
でも、ちょっと大げさかもしれないけど、基本、ジュエリーはみんなそうだと思うよ。
─ 素材を作るのに時間がかかる?
というか、表面の『表情』をつくるのに時間をかける。
その時間からしたら、形を作ったり組んだりの工程は、”ほんのお楽しみ”かな。
─ そうなんだ・・。でもそれが物の力というか、「差」を生むんだろうな。
でも、それだけ時間かけて表情つくっておきながら、色とか塗っちゃったりするからね(笑)。
─ 確かに(笑)。わぁーこれ色塗ったらカワイイよねーみたいな。
そうそう、「これ青とかカワイイんじゃない!?」って。
見えちゃうというか。
だから、うわぁーこれが2個あったらなぁーって思いながら塗ってる(笑)。
─ 目に浮かびます(笑)
しかも、それだけの工程で最後まで作っておきながら、「ボツボックス」に入れたりもするからね(笑)。
─ 出た!ボツボックス。
あのときは良いって思ったのに、なんか・・って。
これはたぶん私の作り方のせいだと思うんだけど・・
(つづきます)
- interview #1 AL brooch
- 01_アルミはカワイイ
- 02_一枚の絵のように
- 03_安全ピンとカシメ
- 04_わからないからつくる